パワフルな走りが魅力の「両輪駆動(デュアルドライブ)電動自転車」。
雪道や坂道にも強いという評判を聞いて、購入を検討している方も多いのではないでしょうか。
しかし、その一方で「車体が重い」「価格が高い」といった気になる声も耳にします。
どんな製品にも長所と短所があるように、両輪駆動の電動自転車にも特有のデメリットが存在します。
この記事では、両輪駆動電動自転車のデメリットについて、専門的な内容を誰にでも分かりやすく、そして深く掘り下げて解説していきます。
また、他の駆動方式(前輪駆動・後輪駆動)との比較を通じて、あなたにとって最適な一台を見つけるための選び方も詳しくご紹介します。
この記事を読み終える頃には、あなたは各駆動方式の違いを明確に理解し、ご自身のライフスタイルに合った電動自転車を自信を持って選べるようになっているはずです。
両輪駆動の電動自転車のデメリットは?

自転車ライフナビ・イメージ
両輪駆動の電動自転車は、その優れた走行性能から注目を集めていますが、購入を考える上で知っておくべきいくつかのデメリットも存在します。
パワフルさや安定性と引き換えに、重量、価格、メンテナンス性などで妥協が必要になる場面も少なくありません。
このセクションでは、多くの人が気になる具体的なデメリットについて、一つひとつ丁寧に解説していきます。
Q. デュアルドライブの具体的なデメリットは?
両輪駆動(デュアルドライブ)の電動自転車が持つデメリットは、主に以下の5つのポイントに集約されます。
- 車体が重くなりやすい
- 価格が高価になる傾向がある
- バッテリーの消費が早くなる可能性がある
- 構造が複雑でメンテナンスに手間がかかる
- 走行性能の高さゆえの注意点がある
これらのデメリットは、両輪駆動という特殊な構造そのものに起因しています。
例えば、前輪と後輪の両方にモーターを搭載したり、特殊な動力伝達の仕組みを持たせたりするため、部品点数が増え、それが重量や価格、メンテナンス性に影響を与えるのです。
次の項目から、これらのデメリットがなぜ発生するのか、そして実際に使用する上でどのような影響があるのかを詳しく見ていきましょう。
Q. 車体が重くなりやすいって本当?
はい、本当です。
両輪駆動の電動自転車は、他の駆動方式のモデルと比較して車体が重くなる傾向が顕著です。
一般的な電動自転車の重量が20kgから28kg程度であるのに対し、両輪駆動モデルでは30kgを超えることも珍しくありません。
この重量増の主な原因は、駆動システムにあります。
最も分かりやすいのは、前輪と後輪それぞれにハブモーターを搭載するタイプの両輪駆動です。
モーターはそれ自体が数kgの重量を持つ部品であり、それを2つ搭載すれば当然、車体は重くなります。
また、一つのモーターから前後の車輪へ動力を分配するタイプであっても、そのためのギアやシャフトといった部品が必要になるため、結果として重量は増加します。
さらに、パワフルな走行を支えるために、より大容量のバッテリーが搭載されることが多いのも、重量増の一因です。
車体が重いことによる具体的なデメリットは以下の通りです。
- 駐輪時の取り回しが大変になる。
- 万が一バッテリーが切れた際に、自力で漕ぐ負担が非常に大きい。
- マンションの駐輪場など、段差を持ち上げて移動させる必要がある場合に苦労する。
- 自動車に積んで運ぶ際の積み下ろしが困難になる。
日々の使い勝手に直結する部分ですので、特に女性や力の弱い方は、購入前に一度、実車の重さを体感してみることをお勧めします。
Q. 価格が高めのモデルが多いのはなぜ?
両輪駆動の電動自転車の価格が高めになるのは、その複雑な構造と使用される部品のコストが主な理由です。
大きく分けて、以下の3つの要素が価格を押し上げています。
- モーターと制御システムのコスト前輪と後輪に2つのモーターを搭載する場合、単純にモーターのコストが2倍になります。また、前後輪の回転差や路面状況に合わせて、それぞれのモーター出力を最適に制御するための高度な電子制御ユニット(コントローラー)が必要不可欠です。この開発と製造にも高い技術とコストがかかります。
- 特殊な部品とフレームのコスト一つのモーターで両輪を駆動するタイプの場合でも、動力を前輪に伝えるためのドライブシャフトやギアボックスといった特殊な部品が必要です。これらの部品は一般的な自転車には使われないため、少量生産となりコストが上がりがちです。さらに、増えた部品や重量に耐え、高い走行性能を支えるためには、フレーム自体の剛性も高く設計する必要があり、これもコストアップの要因となります。
- 開発・製造コスト両輪駆動は電動自転車市場全体で見ればまだニッチな存在であり、開発にかけられる費用や時間は限られます。少ない生産台数で開発コストを回収する必要があるため、一台あたりの価格が高めに設定されざるを得ないという側面もあります。
これらの理由から、両輪駆動の電動自転車は、同程度のバッテリー容量を持つ他の駆動方式のモデルと比較して、数万円から十数万円以上高価になることが一般的です.
Q. バッテリーの消費が早いというのは本当?
はい、その可能性は高いと言えます。
同じ条件で走行した場合、両輪を駆動させる両輪駆動は、片輪だけを駆動させるモデルよりも多くのエネルギーを必要とするため、バッテリーの消費は早くなる傾向にあります。
これは、四輪駆動車が二輪駆動車よりも燃費が悪化しやすいのと同じ原理です。
ただし、このデメリットには少し補足が必要です。
多くの高性能な両輪駆動モデルでは、常に両輪がフルパワーで駆動しているわけではありません。
通常時は後輪(または前輪)のみを駆動させ、急な坂道や滑りやすい路面、強い加速が必要な場面など、大きな力が必要になった時だけもう一方の車輪も駆動させる、といったインテリジェントな制御を行っています。
このような賢い制御システムのおかげで、無駄な電力消費は極力抑えられています。
とはいえ、両輪駆動のメリットを最大限に活かすような乗り方、つまり坂道を頻繁に登ったり、悪路を走ったりする機会が多ければ、当然バッテリーの消費は早まります。
アシストモードを常に「強」や「ターボ」モードで走行する場合も同様です。
「航続距離」を最優先事項として考えるのであれば、両輪駆動モデルは慎重に検討する必要があるかもしれません。
カタログスペックに記載されている航続距離は、あくまで平坦な道を穏やかなモードで走行した場合の理想値であることが多いという点を覚えておきましょう。
Q. 構造が複雑でメンテナンスが大変?
この点も、はい、その通りです。
両輪駆動の電動自転車は、構造が一般的なモデルよりも複雑であるため、メンテナンスや修理の難易度が上がります。
まず、部品点数が多いことが挙げられます。
モーターが2つあれば、配線やコントローラーもそれに合わせて複雑化します。
動力伝達のための特殊なギアやシャフトが使われている場合、それらの部品の点検や交換には専門的な知識と工具が必要になります。
これがもたらす具体的な問題点は以下の通りです。
- 対応できる自転車店が限られる一般的な自転車店では、両輪駆動という特殊なシステムの修理やメンテナンスに対応できない場合があります。購入した店舗や、そのメーカーの正規取扱店に持ち込む必要があり、近所に店舗がない場合は手間と時間がかかります。
- トラブルシューティングが難しい「アシストが効かなくなった」という一つの不具合でも、原因が前輪モーターなのか、後輪モーターなのか、あるいはコントローラーや配線なのか、特定するのがより困難になります。原因究明に時間がかかり、結果として修理費用が高くなる可能性もあります。
- 部品の入手性前述の通り、専用部品が多いため、万が一の故障時に交換部品の在庫がなく、取り寄せに時間がかかるケースも考えられます。
日常的なタイヤの空気入れやチェーンへの注油といった基本的なメンテナンスは他の自転車と変わりませんが、駆動系に関わるトラブルが発生した際の手間やコストは、他の駆動方式よりも大きくなることを覚悟しておく必要があります。
Q. 雪道や雨の日の走行で注意点は?
両輪駆動の最大のメリットは、雪道や雨で濡れた路面など、滑りやすい状況下での高い安定性です。
しかし、その性能を過信することは禁物であり、特有の注意点も存在します。
まず理解しておくべきは、「スリップしにくい」ことと「安全に止まれる」ことはイコールではない、という点です。
両輪駆動は発進時や登坂時のタイヤの空転を防ぐ力は非常に強いですが、一度スピードが出た状態からのブレーキング性能は、車体の重さも相まって、むしろ制動距離が長くなる傾向があります。
濡れたマンホールや白線、凍結した路面(アイスバーン)の上では、どんな自転車でもタイヤのグリップ力には限界があります。
両輪駆動だから絶対に転ばない、というわけでは決してありません。
また、コーナリング中のアシストにも注意が必要です。
カーブを曲がっている最中にペダルを漕ぎ、アシストが強く作動すると、特に前輪が駆動する力によって車体がアウト側に膨らむような挙動を示したり、予期せぬタイミングでグリップを失ったりする可能性があります。
滑りやすい路面でのカーブでは、手前から十分に減速し、曲がっている最中はペダルを漕がない(アシストを作動させない)のが安全の基本です。
まとめると、両輪駆動は確かに滑りやすい路面での「走破性」を高めてくれますが、それはあくまで補助的な機能です。
過信せず、常に「急」のつく操作(急ブレーキ、急ハンドル、急加速)を避け、路面状況をよく観察しながら、余裕を持ったスピードで運転することが何よりも重要です.
両輪駆動の電動自転車のデメリットは?他の駆動方式から見る選び方は?

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ここまで両輪駆動のデメリットに焦点を当ててきましたが、電動自転車には他にも「前輪駆動」や「後輪駆動」といった方式があり、それぞれに異なる特徴があります。
両輪駆動が本当に自分に必要なのかを判断するためには、これらの他の駆動方式を理解し、比較することが不可欠です。
このセクションでは、各駆動方式の仕組みから長所・短所までを解説し、あなたの使い方に最適な一台を見つけるための道筋を示します。
Q. 前輪駆動と後輪駆動の仕組みの違いは?
前輪駆動と後輪駆動の最も大きな違いは、その名の通り「モーターがどの車輪を動かすか」という点にあります。
この違いが、乗り心地や走行性能に大きな特徴となって現れます。
駆動方式 | 仕組み | 感覚的な特徴 |
前輪駆動 | 前輪のハブ(車軸の中心)にモーターが内蔵されている。ペダルを漕ぐと、その力をセンサーが感知し、モーターが前輪を回転させる。 | 前から引っ張られるような「牽引感」のあるアシスト。 |
後輪駆動 | 後輪のハブにモーターが内蔵されているか、またはフレーム中央(ペダルの付け根あたり)にモーターが配置されている(ミッドドライブ)。 | 後ろから押されるような「押進感」のあるアシスト。 |
前輪駆動は、人間がペダルを漕いで後輪を回し、モーターが前輪を回すため、実質的に「人間とモーターによる二輪駆動」と表現されることもあります。
構造が比較的シンプルで、既存の自転車の形を大きく変えずに電動化しやすいというメリットがあります。
一方、後輪駆動は、人間が漕ぐ力もモーターのアシスト力も、どちらも後輪に集中します。
これにより、一般的な自転車の乗り心地に非常に近い、自然でパワフルなアシスト感を得られるのが特徴です。
特に、フレーム中央にモーターを置く「ミッドドライブ方式」は、重量バランスに優れ、本格的なスポーツ走行にも対応できる高性能なモデルに多く採用されています。
Q. なぜ前輪駆動のモデルがある?
電動自転車市場には、後輪駆動が主流でありながらも、前輪駆動のモデルが一定数存在し、支持されています。
その理由は、前輪駆動ならではのユニークなメリットがあるからです。
最大のメリットは、「回復充電機能」との相性の良さです。
回復充電とは、ブレーキをかけた時やペダルを漕がずに坂道を下っている時に、車輪の回転エネルギーを使ってモーターが発電機となり、バッテリーを充電する仕組みです。
後輪はペダルを止めるとフリーになる(空転する)機構が必要ですが、前輪にはその制約がありません。
そのため、前輪駆動モデルでは、この回復充電機能を搭載しやすいのです。
「走りながら充電できる」というキャッチコピーは、特に長距離を走るユーザーにとって大きな魅力となります。
また、構造上の利点もあります。
モーターが前輪に集約されているため、後輪周りは一般的な自転車と全く同じ構造にできます。
これにより、内装・外装変速機の両方が使えたり、ベルトドライブを採用できたりと、後輪駆動系コンポーネントの選択肢が広がるというメリットがあります。
メンテナンスの際も、後輪のパンク修理などがモーターのない一般的な自転車と同じ手順で行えるため、ユーザー自身や一般の自転車店でも対応しやすい場合があります。
コストパフォーマンスに優れたシティサイクルタイプの電動自転車に、前輪駆動が採用されることが多いのは、こうした理由があるのです。
Q. 前輪駆動で坂道を登るのは大変?
はい、急な坂道や滑りやすい路面では、前輪駆動は後輪駆動に比べて不利になる場面があります。
これは物理的な重量配分の問題が関係しています。
自転車で坂道を登る時、ライダーの体重や車体の重心は自然と後方へ移動します。
そうすると、前輪にかかる荷重が軽くなり、地面を捉える力(トラクション)が弱まってしまいます。
この状態でモーターが強く前輪を回転させると、タイヤが「スリップ」または「スピン」してしまい、うまく推進力に変換できないことがあるのです。
特に、砂利道や濡れた落ち葉の上など、ただでさえ滑りやすい路面での登坂では、この傾向はより顕著になります。
「前輪が空回りして、前に進まない」といった感覚や、ハンドルが軽くなってふらつくような感覚を覚えるかもしれません。
もちろん、これはあくまで限界的な状況での話です。
都市部にあるような舗装された緩やかな坂道であれば、前輪駆動でも問題なく登ることができます。
しかし、山間部のような急勾配の坂を頻繁に走行する予定がある方や、より安定したパワフルな登坂性能を求める方にとっては、後輪駆動のほうが適していると言えるでしょう。
Q. 後輪駆動の長所と短所は?
後輪駆動は、現在の電動自転車市場で最も広く採用されている方式であり、多くのメリットがありますが、いくつかの短所も存在します。
長所(メリット)
- 自然なアシストフィール後ろからグッと押される感覚は、自分で自転車を漕いでいる感覚に非常に近く、違和感が少ないのが最大の長所です。特に発進時や加速時に、スムーズで力強いアシストを得られます。
- 高い登坂性能坂道を登る際には車体後方に荷重がかかるため、駆動輪である後輪のトラクションが抜けにくく、スリップしにくいです。力強く、安定して坂道をクリアすることができます。
- 高い走行安定性高速走行時にも、駆動力が車体の進行方向に対してまっすぐ働くため、直進安定性に優れています。スポーティーな走行を楽しむモデルに適しています。
短所(デメリット)
- 後輪周りのメンテナンス性後輪ハブにモーターが内蔵されているタイプの場合、後輪の着脱が複雑になり、パンク修理などの作業が通常よりも手間になることがあります。(※ミッドドライブ方式の場合はこの限りではありません)
- 車体後部への重量集中ハブモータータイプの場合、モーターとバッテリーが車体後方に集中しやすく、持ち上げた際に後ろが重く感じられることがあります。(※ミッドドライブ方式は重量バランスに優れます)
- ミッドドライブ方式のコストと消耗後輪駆動の中でも特に高性能なミッドドライブ方式は、構造が複雑で高価になる傾向があります。また、モーターの強力なパワーがチェーンやスプロケットに直接かかるため、これらの部品の摩耗が早くなる可能性があります。
このように、後輪駆動と一言で言っても、ハブモーター方式とミッドドライブ方式で特徴が少し異なります。
一般的に、シティサイクルには後輪ハブモーター、本格的なスポーツバイクにはミッドドライブが採用されることが多いです。
Q. 結局どの駆動方式が一番おすすめ?
「この駆動方式が絶対に一番良い」という答えはありません。
なぜなら、最適な駆動方式は、あなたの予算、主な使用目的、走行する環境によって全く異なるからです。
それぞれの長所と短所を理解した上で、ご自身の使い方に最もマッチするものを選ぶことが重要です。
以下に、それぞれの駆動方式がどのような人におすすめかをまとめました。
- 両輪駆動がおすすめな人・雪国にお住まいで、冬期間も自転車を利用する人。・砂利道や未舗装路など、極めて滑りやすい路面を走る機会がある人。・とにかく走行時の安定性を最優先し、重量や価格は二の次と考える人。
- 前輪駆動がおすすめな人・主な用途が平坦な市街地の通勤・通学・買い物である人。・「走りながら充電」できる回復充電機能に魅力を感じる人。・比較的安価で、コストパフォーマンスを重視する人。
- 後輪駆動(ハブモーター)がおすすめな人・自然でパワフルなアシスト感を求める人。・通勤路に坂道が多く、安定した登坂性能が必要な人。・性能と価格のバランスが取れた、オールラウンドな一台を探している人。
- 後輪駆動(ミッドドライブ)がおすすめな人・本格的なサイクリングやマウンテンバイクを楽しみたい人。・車体の重量バランスと、ペダリングの自然さを最も重視する人。・予算に余裕があり、最高の走行性能を求める人。
このように、自分のニーズを明確にすることで、自ずと選ぶべき駆動方式が見えてくるはずです。
Q. 自分に合う駆動方式を選ぶ方法は?
自分にぴったりの駆動方式を選ぶためには、カタログのスペックを眺めるだけでなく、ご自身の自転車ライフを具体的にイメージすることが大切です。
以下の質問リストに答えてみましょう。
- 自転車に乗る一番の目的は何ですか?
□ 毎日の通勤・通学
□ 近所での買い物
□ 子供の送り迎え
□ サイクリングなどの趣味・運動
□ 仕事での配達業務
- 主にどのような道を走りますか?
□ ほとんど平坦な、舗装された道□ 日常的にアップダウンのある道
□ 急な坂道や長い坂道がある
□ 砂利道や未舗装路を走ることがある
□ 冬には雪が積もる地域に住んでいる
- 予算はどのくらいを考えていますか?
□ できるだけ安く抑えたい(10万円台前半まで)□ 標準的な価格帯で考えたい(15万円〜25万円程度)
□ 性能を重視するので、高価でも構わない(30万円以上)
- 自転車のメンテナンスにどのくらい関われますか?
□ 基本的なことは自分でやりたい□ 専門店に全て任せたい
□ できるだけメンテナンスフリーなものが良い
- 車体を持ち運ぶ機会はありますか?
□ ほとんどない□ たまに車に積むことがある
□ 毎日、階段や段差を上り下りする必要がある
これらの質問への答えを、前項の「おすすめな人」のリストと照らし合わせてみてください。
例えば、「平坦な市街地の通勤が目的で、予算を抑えたい」のであれば前輪駆動が候補になります。
「坂道の多い地域で子供の送り迎えに使い、安定性を重視したい」のであれば後輪駆動が有力です。
そして、「雪国での年間を通した足として、何よりも走破性を求める」という特別なニーズがある場合に、初めて両輪駆動が最有力候補として挙がってくるでしょう。
このように、自分自身の使い方を客観的に分析することが、後悔しない電動自転車選びの鍵となります。
まとめ:両輪駆動の電動自転車のデメリットは?

自転車ライフナビ・イメージ
この記事では、両輪駆動(デュアルドライブ)の電動自転車が持つデメリットを中心に、他の駆動方式との比較を通じて、自分に合った一台を選ぶための方法を詳しく解説してきました。
最後に、本記事の要点を改めて整理します。
両輪駆動の電動自転車が持つ主なデメリットは、以下の4点に集約されます。
一つ目は「車体の重さ」です。
二つのモーターや複雑な駆動系部品を搭載するため、他の方式よりも重くなりがちで、取り回しや万が一バッテリーが切れた際の走行に負担がかかります。
二つ目は「価格の高さ」です。
部品点数の多さや高度な制御システムの必要性から、製造コストが高くなり、販売価格も高価になる傾向があります。
三つ目は「バッテリー消費の速さ」です。
両輪を駆動させる分、消費エネルギーは大きくなります。
賢い制御で燃費は改善されていますが、その性能を活かす走り方をすれば、航続距離は短くなる可能性があります。
四つ目は「メンテナンスの複雑さ」です。
特殊な構造のため、修理やメンテナンスに対応できる店舗が限られ、トラブルシューティングにも専門知識が必要になります。
これらのデメリットは、両輪駆動が持つ「雪道や悪路での圧倒的な安定性と走破性」という、他にはない強力なメリットとのトレードオフの関係にあります。
多くのユーザーにとっては、前輪駆動や後輪駆動のモデルで十分な性能を持っていることがほとんどです。
しかし、あなたが年間を通して自転車を利用する雪国のユーザーであったり、特殊な環境下での走行を余儀なくされる場合、両輪駆動はデメリットを補って余りある、最高のパートナーとなり得ます。
大切なのは、最新の技術やパワフルさといった言葉に惑わされず、ご自身のライフスタイル、使用目的、そして予算と照らし合わせ、それぞれの駆動方式の長所と短所を正しく理解することです。
この記事が、あなたの電動自転車選びの一助となれば幸いです。