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普通の自転車を電動自転車にする方法をわかりやすく解説

普通の自転車を電動自転車にする方法をわかりやすく解説 電動
自転車ライフナビ・イメージ

坂道の多い通学路や、買い物の荷物で重くなった自転車のペダルを漕ぐ足が、思わず止まりそうになった経験はありませんか。

「この自転車が電動アシスト付きだったら、どれだけ楽だろう」と、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

実は、今お乗りの愛着ある自転車を、後付けのキットを使って電動アシスト自転車に変えるという選択肢が存在します。

しかし、その一方で「本当にそんなことができるの?」「法律的に問題はないの?」「危険じゃないの?」といった疑問や不安も尽きないはずです。

この記事では、普通の自転車を電動アシスト自転車にする方法について、専門的な知識から具体的な手順、費用、そして最も重要な注意点まで、網羅的に解説していきます。

この記事を最後まで読めば、あなたの自転車ライフを大きく変える可能性のある「後付け電動化」の全てがわかり、安全で賢い判断を下すための知識が身につくでしょう。

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普通の自転車を電動自転車にする方法|キットの基本知識

普通の自転車を電動自転車にする方法をわかりやすく解説

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普通の自転車を電動アシスト自転車に変える「後付けキット」は、自転車の新しい楽しみ方として注目を集めつつあります。

しかし、手軽に導入できるイメージとは裏腹に、その仕組みや法律、リスクについては、あまり知られていないのが現状です。

このセクションでは、後付け電動アシストキットに関する基本的な知識を深掘りし、あなたが抱える最初の疑問に一つひとつ丁寧に答えていきます。

正しい知識は、安全な自転車ライフへの第一歩です。

後付け電動アシストキットで本当に電動化できる?

結論から言うと、後付けの電動アシストキットを使って、現在お使いの普通の自転車を電動アシスト化することは技術的に可能です。

市場には、自転車の特定の部分(主に前輪やクランク部分)を交換または追加する形で、モーターやバッテリー、各種センサーを取り付けるための製品が数多く存在します。

これらのキットは、ペダルを漕ぐ力をセンサーが感知し、その力に応じてモーターが作動して、ペダルを漕ぐ力を補助するという、一般的な電動アシスト自転車と同じ原理で動作します。

つまり、キットを正しく取り付けることさえできれば、これまで坂道で苦労していた自転車が、まるで誰かに後ろからそっと押してもらっているかのような快適な乗り物へと生まれ変わるのです。

ただし、「取り付けられる」ということと、「安全かつ合法的に公道を走れる」ということは、全く別の問題である点を、まず念頭に置く必要があります。

後付け電動アシストは日本で合法?電動化の注意点

このテーマにおいて、最も重要で、絶対に理解しておかなければならないのが法律に関する問題です。

日本国内の公道を走行する電動アシスト自転車は、道路交通法によって厳格な基準が定められています。

この基準を満たしていない自転車は、たとえアシスト機能が付いていても「電動アシスト自転車」とは認められず、「原動機付自転車(原付)」や「自動二輪車」と同じ扱いになります。

日本の法律で定められている「電動アシスト自転車」の主な基準は以下の通りです。

項目 基準
アシスト比率 人がペダルを漕ぐ力に対して、モーターが補助する力の割合です。時速10km未満では最大で1:2(漕ぐ力の2倍まで)でなければなりません。
アシスト速度範囲 モーターによるアシストは、時速24kmに達するまでに、徐々に弱まり、最終的にゼロにならなければなりません。時速24km以上では、いかなるアシストも許されません。
構造 ペダルを漕がずにモーターの力だけで自走する機能(スロットル機能など)があってはなりません。あくまでも、人の力を補助する「アシスト」に限定されます。

海外で製造・販売されている後付けキットの中には、これらの日本の基準を全く満たしていない製品が非常に多く含まれています。

例えば、時速24kmを超えてもアシストし続けたり、ペダルを漕がなくてもスロットルレバーを捻るだけで進んでしまったりするものは、日本では「原付」扱いです。

もし、基準を満たさないキットを取り付けた自転車で公道を走行した場合、以下のような法的な義務と罰則のリスクを負うことになります。

  • ナンバープレートの取得・表示義務
  • 自賠責保険への加入義務
  • 運転免許証の携帯義務
  • ヘルメットの着用義務
  • 前照灯、尾灯、制動灯、方向指示器などの保安部品の装備義務

これらの義務を果たさずに運転すれば、無免許運転や無保険運行といった重大な交通違反となり、厳しい罰則(懲役や罰金)の対象となります。

したがって、後付けキットを選ぶ際は、販売者が「公道走行可能」と謳っていたとしても、それが日本の道路交通法の基準に明確に準拠していることを示す、客観的な証拠(例:日本の第三者機関による性能鑑定書など)があるかどうかを、細心の注意を払って確認する必要があります。

安易な選択が、知らず知らずのうちに法律違反を犯すことに繋がりかねない、ということを強く認識してください。

電動化キットで普通の自転車を改造するメリット

法的な注意点を理解した上で、適切に電動化を行った場合、いくつかの魅力的なメリットが考えられます。

一つ目のメリットは、コストを抑えられる可能性があることです。

もちろん、キット自体の価格にもよりますが、高性能な電動アシスト自転車を新車で購入する費用と比較すると、手持ちの自転車を活用することで、全体の出費を安く済ませられる場合があります。

二つ目のメリットは、長年連れ添った愛着のある自転車を、そのまま活用し続けられる点です。

デザインが気に入っている、自分の体にぴったり合っているなど、手放したくない理由がある自転車を、現代のニーズに合わせてアップグレードできるのは、大きな喜びとなるでしょう。

三つ目のメリットは、自転車選びの自由度が高まることです。

完成車の電動アシスト自転車は、どうしてもモデルやデザインが限られがちです。

しかし、後付けを前提に考えれば、自分が本当に乗りたいデザインの自転車や、特定の用途に特化した自転車(例えば、特定のブランドのクロスバイクやミニベロなど)を選び、それを電動化するという、オーダーメイドに近い楽しみ方が可能になります。

四つ目のメリットとして、DIY(Do It Yourself)の楽しみを味わえる点も挙げられます。

自分の手で自転車を分解し、新しいパーツを組み込み、性能が向上していく過程は、機械いじりが好きな人にとっては、何物にも代えがたい満足感を得られる体験となるでしょう。

これらのメリットは、後付け電動化が持つ大きな魅力であり、多くの人々が関心を寄せる理由となっています。

普通の自転車を電動化するデメリットとリスク

魅力的なメリットがある一方で、後付けによる電動化には、決して軽視できないデメリットとリスクが伴います。

最大のデメリットでありリスクは、前述した「法規制」の問題です。

日本の基準に適合しないキットを誤って使用してしまうリスクは常に付きまといます。

二つ目のリスクは、「安全性」の問題です。

電動化によって自転車の総重量は大幅に増加し、走行速度も上がりやすくなります。

これに対し、元の自転車のフレーム強度やブレーキ性能が追いつかない可能性があります。

特に、安価な自転車に強力なモーターを取り付けた場合、高速走行からの急ブレーキ時にフレームが歪んだり、ブレーキが効かずに重大な事故に繋がったりする危険性があります。

自転車は、元々搭載されている部品全体のバランスによって安全性が保たれているため、一部分だけを強化することは、全体のバランスを崩すことに繋がるのです。

三つ目のデメリットは、「取り付けの難易度」です。

キットの取り付けには、自転車の構造に関する専門的な知識と、場合によっては専用の特殊な工具が必要となります。

知識不足のまま作業を行うと、正しく部品を取り付けられなかったり、配線を間違えたりして、故障の原因になるだけでなく、走行中に部品が脱落するなどの危険な状況を招く恐れもあります。

四つ目のリスクは、「保証」の問題です。

後付けキットによって自転車を改造した場合、その自転車はメーカーの保証対象外となるのが一般的です。

同様に、後付けキット自体に保証が付いていたとしても、取り付け作業の不備が原因で故障した場合は、保証が適用されない可能性があります。

つまり、改造後に何らかのトラブルが発生した場合、その修理や対応はすべて自己責任となり、高額な修理費用が発生する可能性も考えられます。

さらに、バッテリーに関するリスクも無視できません。

特に、品質の低いリチウムイオンバッテリーは、過充電や衝撃によって発火・爆発する危険性をはらんでいます。

信頼性の低いメーカーのキットを選ぶことは、自宅や駐輪場で火災を引き起こすリスクを抱え込むことにもなりかねません。

これらのデメリットとリスクを総合的に考慮すると、後付けによる電動化は、専門的な知識と技術、そして何よりも高い自己責任の意識を持つ人向けの、上級者向けのカスタムであると言えるでしょう。

後付け電動アシストキットの種類と主要パーツ

後付け電動アシストキットは、モーターを自転車のどの部分に取り付けるかによって、大きく3つのタイプに分類されます。

それぞれのタイプに特徴があり、乗り心地や取り付けの難易度が異なります。

  1. 前輪駆動(フロントハブモーター)
    • 特徴:前輪のハブ(車軸の中心部分)を、モーターが内蔵されたハブに交換するタイプです。
    • メリット:構造が比較的シンプルで、後輪やチェーン周りを触る必要がないため、取り付けが他のタイプに比べて容易な傾向にあります。まるで前から引っ張られるような独特の走行感覚になります。
    • デメリット:前輪に重量が集中するため、ハンドリングが重くなったり、雨の日などに前輪がスリップしやすくなったりする可能性があります。
  2. 中央駆動(ミッドドライブ)
    • 特徴:ペダルを漕ぐクランクの付け根部分(ボトムブラケット)にモーターを取り付けるタイプです。
    • メリット:自転車の重心近くにモーターが位置するため、重量バランスが良く、普通の自転車に近い自然な乗り心地を実現できます。モーターの力がチェーンを介して後輪に伝わるため、自転車の変速機を有効に活用でき、坂道などで効率的なアシストが可能です。
    • デメリット:構造が複雑で、取り付けにはクランクやボトムブラケットを分解・交換するための専門知識と特殊な工具が必要です。難易度は最も高いと言えます。
  3. 後輪駆動(リアハブモーター)
    • 特徴:後輪のハブを、モーター内蔵のハブに交換するタイプです。多くの完成品の電動アシスト自転車で採用されています。
    • メリット:後ろから力強く押されるような、ダイレクトでパワフルなアシスト感が得られます。発進や登坂に強いのが特徴です。
    • デメリット:後輪の交換作業が必要で、特に変速機が付いている場合は調整が複雑になります。後輪に重量が集中するため、パンク修理などが少し大変になる場合があります。

これらの駆動ユニットに加えて、電動アシストシステムは以下の主要なパーツで構成されています。

  • バッテリー:モーターに電力を供給する、システムの心臓部です。容量(Ah/アンペアアワーやWh/ワットアワー)が大きいほど、一回の充電で走行できる距離が長くなりますが、その分、重量も重く、価格も高くなります。
  • コントローラー:各種センサーからの情報を処理し、モーターへの電力供給を制御する司令塔の役割を果たします。
  • センサー:ペダルの回転や踏み込む力を検知するパーツです。主に「スピードセンサー(回転を検知)」と「トルクセンサー(踏む力を検知)」の2種類があり、トルクセンサー付きの方が、より自然で滑らかなアシスト感を得られます。
  • ディスプレイ/スイッチ:手元で電源のオンオフやアシストモードの切り替え、バッテリー残量の確認などを行うための装置です。

これらのパーツが連携し合うことで、電動アシスト機能が実現されています。

後付け電動アシストユニットの仕組みと選び方のコツ

電動アシストの基本的な仕組みは、センサーが「ライダーがペダルを漕ぎ始めたこと」を検知するところから始まります。

ペダルが回転したり、ペダルに力が加わったりすると、センサーがその情報をコントローラーに送ります。

情報を受け取ったコントローラーは、「ライダーがアシストを必要としている」と判断し、バッテリーからモーターへ適切な量の電力を送るよう指示を出します。

指示を受けたモーターが駆動し、ライダーのペダルを漕ぐ力を補助するという流れです。

この一連の動作が瞬時に行われるため、私たちはスムーズなアシストの恩恵を受けることができます。

では、数あるキットの中から、自分に合ったものを選ぶにはどうすれば良いのでしょうか。

以下に、選ぶ際の重要なコツをまとめました。

  1. 日本の法規制への適合性を最優先で確認する
    • これが最も重要なポイントです。販売ページに「日本の公道走行可能」と明記されているか、そしてその根拠となる「型式認定」や「性能鑑定」などの情報が開示されているかを確認しましょう。不明確な場合は、絶対に購入を避けるべきです。
  2. 自分の自転車との互換性を徹底的に調べる
    • キットが自分の自転車に取り付け可能かどうかは、購入前に必ず確認しなければなりません。
    • 確認すべき項目は多岐にわたります。
      • ホイールサイズ(例:26インチ、700c、20インチなど)
      • フロントフォークやリアエンドの幅(ハブモーターを取り付ける隙間の幅)
      • ボトムブラケット(BB)の規格と幅(ミッドドライブの場合)
      • ブレーキの種類(Vブレーキか、ディスクブレーキか。ディスクブレーキの場合はローターの取り付け規格も)
      • フレームの材質(カーボンフレームなど、強度の問題で取り付けが推奨されないものもあります)
    • 販売店のウェブサイトなどで互換性に関する情報を探し、不明な点は購入前に必ず問い合わせましょう。
  3. モーターの種類と出力を目的に合わせて選ぶ
    • 日本の法律では、定格出力が250W(ワット)を超えないことが一つの目安とされています。海外製の高出力モーター(500Wや1000Wなど)は、日本では原付扱いになるため、公道走行はできません。
    • 街乗り中心で取り付けやすさを重視するなら「前輪駆動」、自然な乗り心地と本格的な走行性能を求めるなら「ミッドドライブ」、力強いアシストが好みなら「後輪駆動」といったように、自分の使い方に合ったタイプを選びましょう。
  4. バッテリーの容量と品質を見極める
    • バッテリー容量は、航続距離に直結します。通勤距離が長い、あるいは坂道が多いなど、使用状況を考慮して十分な容量のものを選びましょう。
    • 同時に、バッテリーの品質は安全性に直結します。信頼できるメーカーのセル(内部の電池)を使用しているか、過充電防止などの保護回路(BMS)が搭載されているかなど、安全に関する仕様を確認することが重要です。
  5. サポート体制と保証の有無を確認する
    • 取り付け方法に関する詳しい説明書(日本語)が付属しているか、不明な点があった場合に問い合わせできる窓口があるか、といったサポート体制は非常に重要です。
    • 万が一の初期不良などに備え、製品保証が付いているかどうかも確認しておきましょう。個人輸入などで購入した製品は、サポートや保証が受けられないケースがほとんどです。

これらのコツを踏まえ、情報収集を怠らず、慎重に製品を選定することが、後付け電動化を成功させるための鍵となります。

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普通の自転車を電動自転車にする方法|取り付けと費用

普通の自転車を電動自転車にする方法をわかりやすく解説

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キットの基本的な知識を身につけた次は、より実践的な「取り付け」と「費用」の側面に目を向けてみましょう。

「自分で取り付けられるのか」「お店に頼めるのか」「一体いくらかかるのか」といった、具体的な疑問が湧いてくるはずです。

このセクションでは、電動化を実現するための具体的なプロセスと、それに伴うコストについて、詳しく解説していきます。

夢の電動化への道のりは、ここからが本番です。

電動アシストの後付けは簡単?取り付け方法の概要

後付け電動アシストキットの取り付けが「簡単か」と問われれば、その答えは「自転車の整備にある程度慣れている人であれば可能だが、初心者にとっては決して簡単ではない」というのが正直なところです。

キットの種類によって作業内容は大きく異なりますが、一般的な前輪駆動キットを例に、取り付け方法の概要をステップで見てみましょう。

  1. 準備段階
    • まず、キットの内容物がすべて揃っているかを確認します。
    • 次に、作業に必要な工具を準備します。スパナやレンチセット、ドライバー、タイヤレバー、空気入れなどは最低限必要です。キットによっては、特殊な工具が求められる場合もあります。
    • 作業スペースを確保し、自転車を安定させるためのメンテナンススタンドがあると、作業が格段にしやすくなります。
  2. 前輪の交換
    • 自転車を逆さまにするか、スタンドに固定します。
    • ブレーキワイヤーを緩め、前輪を固定しているナットを外して、元の前輪をフレームから取り外します。
    • 元のタイヤとチューブを、新しいモーター付きのホイールに移植します。
    • モーター付きホイールをフロントフォークに取り付け、ナットでしっかりと固定します。この際、モーターからの配線が傷つかないように注意が必要です。
  3. センサーの取り付け
    • ペダル付近に、ペダルの回転を検知するためのスピードセンサー(マグネットとセンサー本体)を取り付けます。クランクとフレームの隙間に、指定された間隔で設置する必要があります。
  4. バッテリーとコントローラーの設置
    • バッテリーをフレームのボトルケージ台座や、荷台などに取り付けます。ドリルで穴を開ける加工が必要になる場合もあります。
    • 多くの場合、バッテリーホルダーにコントローラーが内蔵されていますが、別体の場合は指定の場所に固定します。
  5. ディスプレイとスイッチの取り付け
    • ハンドルバーに、液晶ディスプレイや操作スイッチを取り付けます。
  6. 配線作業
    • これが最も複雑で重要な作業です。モーター、バッテリー、センサー、ディスプレイからの各ケーブルを、コントローラーの対応するコネクタに接続していきます。
    • ケーブルは、フレームに沿わせて結束バンドなどで固定し、走行中にタイヤやチェーンに絡まないよう、安全かつ見た目も美しく処理します。コネクタは防水仕様になっていることが多いですが、接続は確実に行う必要があります。
  7. 最終確認と調整
    • すべての部品が確実に取り付けられているか、ネジの緩みがないかを確認します。
    • ブレーキを再調整し、確実に作動するかをテストします。電動化によって車速が上がりやすくなるため、ブレーキの効きは非常に重要です。
    • 電源を入れ、ディスプレイが表示されるか、アシストが正常に機能するかを、安全な場所で試走して確認します。

ミッドドライブの場合は、さらにクランクとボトムブラケットを分解・交換するという、より専門的な作業が加わります。

このように、作業工程は多岐にわたり、一つ一つの作業を正確に行う集中力と、ある程度の技術が求められます。

電動アシストの後付けは自転車屋に依頼できる?

「自分で取り付けるのは自信がないから、プロの自転車屋さんに頼みたい」と考えるのは自然なことです。

しかし、残念ながら、ほとんどの一般的な自転車販売店や修理店では、持ち込みによる後付け電動アシストキットの取り付け作業を断られるケースが非常に多いのが実情です。

その理由は、主に以下の3点に集約されます。

  1. 安全性と責任の問題
    • 自転車店にとって、顧客の安全は最優先事項です。素性のわからないキットを取り付けた結果、もし走行中に故障や破損が起きて事故に繋がった場合、取り付けを行った店側が製造物責任法(PL法)上の責任を問われるリスクがあります。
    • また、前述の通り、キットが日本の法規制に適合しているかどうかの判断が難しく、違法な改造に加担してしまうことを避けるためでもあります。
  2. 技術的な問題
    • 後付けキットは多種多様で、取り付け方法も様々です。店舗で扱ったことのない製品の取り付けには、予期せぬトラブルや加工が必要になることもあり、確実な作業を保証することが困難です。
    • 専用工具が必要になったり、互換性の問題でそもそも取り付けができなかったりする場合もあります。
  3. 保証の問題
    • 自転車店は、自店で販売した自転車やパーツに対しては責任を持って保証や修理を行いますが、顧客が持ち込んだ製品については、その品質を保証できません。
    • 取り付け作業自体に工賃は発生しますが、その後の製品の不具合にまで対応することはできないため、トラブルになりやすいのです。

ただし、可能性が全くないわけではありません。

ごく一部ですが、後付け電動化を専門的に扱っているショップや、カスタムに柔軟な個人の工房などが存在する場合もあります。

もし依頼を検討する場合は、「後付け電動アシストキット 持ち込み 取り付け 専門」といったキーワードでインターネット検索を行い、実績のある業者を慎重に探す必要があります。

その際も、必ず事前にキットの素性や取り付けたい自転車の情報を伝え、対応可能かどうかを相談することが不可欠です。

基本的には、取り付けは自己責任で行うDIYが前提である、と考えておくのが現実的でしょう。

電動化は安い?後付け電動アシストキットの価格相場

後付け電動化を検討する大きな動機の一つが「費用」です。

後付け電動アシストキットの価格は、その性能や種類によって大きく異なりますが、おおよその相場は以下のようになっています。

  • 比較的安価なキット(前輪駆動、小容量バッテリー):約3万円~7万円
  • 標準的なキット(ミッドドライブや、信頼性のあるバッテリーを搭載したもの):約7万円~15万円
  • 高性能・高品質なキット(ブランド品、大容量バッテリー、トルクセンサー搭載など):15万円以上

この価格に加えて、取り付けに必要な工具を揃える費用や、場合によってはブレーキやタイヤなど、安全性を高めるための周辺パーツの交換費用も考慮に入れる必要があります。

一方で、新品の電動アシスト自転車の価格を見てみると、

  • エントリーモデルのシティサイクル(ママチャリ)タイプ:約8万円~12万円
  • スポーツタイプ(クロスバイク、ロードバイク):約15万円~30万円以上

となります。

この価格を比較すると、手持ちの自転車があり、比較的安価なキットを自分で取り付けるのであれば、新品を購入するよりも総費用を抑えられる可能性はあります。

しかし、高性能なミッドドライブキットを選んだり、専門業者に取り付けを依頼したりする場合には、工賃も含めると、新品のエントリーモデルの電動アシスト自転車が買えてしまう、あるいはそれ以上の費用がかかることも十分に考えられます。

また、忘れてはならないのが、安全性や保証、そして手間といった「目に見えないコスト」です。

単純な金額の比較だけでなく、法規制への適合性、安全性、長期的な信頼性、万が一の際の保証などを総合的に天秤にかけ、どちらが自分にとって本当に「賢い」選択なのかを判断することが重要です。

安さだけを追い求めると、結果的に「安物買いの銭失い」となったり、安全を損なったりする危険性があることを、心に留めておきましょう。

ママチャリに電動アシストを後付けする際の注意点

多くの人が日常的に使用しているシティサイクル、いわゆる「ママチャリ」は、後付け電動化のベース車両としてよく選ばれます。

フレーム形状がシンプルで、比較的キットを取り付けやすいことがその理由です。

しかし、ママチャリに後付けする際には、特有の注意点がいくつかあります。

  1. ブレーキ性能の確認と強化
    • ママチャリに標準装備されているブレーキ(前輪:キャリパーブレーキ、後輪:バンドブレーキやサーボブレーキなど)は、電動化によって増加する重量と速度に対して、制動力が不足する可能性があります。
    • 特に、後輪のバンドブレーキは、雨天時に効きが悪化しやすいという弱点があります。
    • 安全のため、制動力の高いローラーブレーキや、可能であればVブレーキなどに交換することを強く推奨します。ブレーキ性能の強化は、命を守るための最も重要なカスタムです。
  2. フレームと各部の耐久性
    • 安価なママチャリの中には、コストを抑えるために、必ずしも高い剛性を持たないフレームやパーツが使われている場合があります。
    • モーターの強力なトルクや、増加した重量による負荷が、フレームやフォーク、ホイールなどに想定外のストレスを与え、金属疲労を早める可能性があります。
    • 定期的にフレームに亀裂や歪みがないか、各部のネジに緩みがないかなどを点検する習慣が不可欠です。
  3. スタンドの安定性
    • 電動化キット、特にバッテリーはかなりの重量があります。元々付いている片足スタンドのままでは、駐輪時に自転車が非常に不安定になり、少しの風や接触で倒れてしまう危険性があります。
    • 重量増に対応できる、幅広で頑丈な両立スタンドに交換することをおすすめします。
  4. 重量増による取り回しの変化
    • モーターとバッテリーで、自転車の総重量は5kgから10kg近く増加します。
    • 走行中はアシストで軽く感じますが、駐輪場での押し歩きや、方向転換、持ち上げて段差を越えるといった動作が、これまでより格段に重くなります。
    • この重量の変化に慣れるまでは、慎重な取り扱いが必要です。

これらの注意点を踏まえ、必要な箇所には適切なアップグレードを施すことが、ママチャリを安全で快適な電動アシスト自転車として活用するための鍵となります。

20インチ自転車への電動アシストの後付けは可能?

小径車と呼ばれる20インチの自転車(ミニベロなど)への電動アシスト後付けも、基本的には可能です。

コンパクトで取り回しがしやすく、デザイン性の高いミニベロを電動化したいと考える人は少なくありません。

ただし、ここにも特有の注意点が存在します。

最大のポイントは、「キットが20インチのホイールサイズに対応しているか」を確認することです。

ハブモータータイプのキットは、特定のホイールサイズ用に設計されているため、購入しようとしているキットに「20インチ用」のラインナップがあるかどうかが大前提となります。

スポークの長さなども専用のものが必要になるため、700cや26インチ用のキットを流用することはできません。

ミッドドライブタイプのキットであれば、ホイールサイズに直接依存しないため、取り付けの自由度は比較的高まりますが、フレーム形状によってはバッテリーの取り付けスペースが確保できない場合もあります。

20インチ自転車に後付けする際のその他の注意点は以下の通りです。

  • 走行安定性の変化:小径車は元々、直進安定性よりも機敏性に優れています。電動化による急な加速は、ハンドルのふらつきに繋がる可能性があるため、慣れるまでは慎重な操作が求められます。
  • バッテリーの搭載位置:フレームが小さい分、バッテリーの取り付け場所に制約が出やすいです。フレームの三角(トライアングル)が小さくてバッテリーが収まらない、といったケースも考えられます。事前に寸法をしっかり測り、搭載可能かを確認する必要があります。
  • パーツの互換性:ミニベロは、モデルによって特殊な規格のパーツが使われていることがあります。ハブの幅やボトムブラケットの規格などが一般的でない場合、キットとの互換性がない可能性も出てきます。

これらの点をクリアできれば、小回りの利くミニベロの長所と電動アシストの快適さを両立させた、非常に魅力的な一台を作り上げることが可能です。

電動化キットが取り付けられない自転車のタイプ

後付け電動アシストキットは、どんな自転車にでも取り付けられるわけではありません。

自転車の構造や材質によっては、物理的に取り付けが不可能であったり、安全上の理由から絶対に取り付けるべきでなかったりするタイプが存在します。

代表的な例を以下に挙げます。

  1. カーボンフレームの自転車
    • ロードバイクなどに使用されるカーボンファイバー製のフレームは、軽量で特定の方向からの力には非常に強い一方で、想定外の方向からの力や、一点に集中する圧力(クランプの締め付けなど)には非常に弱いという特性があります。
    • ミッドドライブモーターやバッテリーをフレームに固定する際の締め付けトルクが、フレームを破壊してしまう危険性が非常に高いため、多くのキットメーカーはカーボンフレームへの取り付けを禁止しています。
  2. 特殊なフレーム形状の自転車
    • 折りたたみ自転車の一部や、デザイン性を重視した特殊な形状のフレームを持つ自転車は、モーターやバッテリーを取り付けるための物理的なスペースがなかったり、取り付けに必要な箇所の強度が不足していたりする場合があります。
    • 特に、ミッドドライブユニットはボトムブラケット周辺の形状に大きく依存します。
  3. 特殊な規格のパーツを採用した自転車
    • 前後輪の車軸がスルーアクスル方式の自転車(主に近年のディスクブレーキ付きスポーツバイク)には、一般的なクイックリリースやナット止めのハブモーターは取り付けられません。スルーアクスルに対応した専用のハブモーターが必要になります。
    • ボトムブラケットの規格が、プレスフィットBBのように、ネジ切りがないタイプの場合、一般的なネジ込み式のミッドドライブユニットは取り付けできません。プレスフィット対応の専用キットが必要になります。
  4. ブレーキシステムとの不適合
    • ディスクブレーキ搭載車の場合、ハブモーターがディスクブレーキローターの取り付けに対応しているか、またその規格(6穴かセンターロックか)が合っているかを確認する必要があります。
    • コースターブレーキ(ペダルを逆回転させてかけるブレーキ)が内蔵されたハブの自転車には、後輪ハブモーターの取り付けはできません。
  5. フルサスペンションのマウンテンバイク
    • フレームが可動するフルサスペンションバイクは、ミッドドライブモーターの取り付け位置やチェーンラインの設計が非常にシビアになり、取り付けが困難または不可能なケースが多いです。バッテリーの搭載位置も制約を受けます。

自分の自転車がこれらのタイプに当てはまらないか、購入前に自転車の仕様を細部まで確認することが、無駄な出費やトラブルを避けるために不可欠です。

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まとめ:普通の自転車を電動自転車にする方法と注意点

普通の自転車を電動自転車にする方法をわかりやすく解説

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今回は、普通の自転車を電動アシスト自転車にするための後付けキットについて、その基本知識から取り付け、費用、そして様々な注意点に至るまで、詳しく解説してきました。

後付けキットを利用すれば、愛着のある一台をパワフルで快適な乗り物へとアップグレードできる可能性があり、大きな魅力を秘めていることは間違いありません。

しかし、その一方で、この記事を通して繰り返し強調してきたように、後付けによる電動化には、軽視できない多くのハードルとリスクが存在します。

最も重要なのは、日本の道路交通法が定める電動アシスト自転車の基準を正しく理解し、それに準拠したキットを厳選することです。

基準を満たさないキットで公道を走ることは法律違反であり、重大な結果を招きかねません。

また、安全性も決して疎かにはできません。

電動化による重量増と速度アップに対応できるよう、ブレーキの強化やフレームの状態確認は必須です。

取り付けには専門的な知識と技術が求められ、基本的には自己責任のDIYとなること、そして多くの自転車店では取り付けを依頼できない現実も理解しておく必要があります。

費用面においても、キット本体の価格だけでなく、工具や追加で交換が必要なパーツの費用も考慮すると、必ずしも新品の電動アシスト自転車を購入するより安価になるとは限りません。

後付け電動化は、「安くて簡単なもの」ではなく、「自転車への深い知識と技術、そして高い自己責任の意識を持った人が、多くのリスクを理解した上で行う、高度なカスタマイズ」であると認識することが、賢明な判断を下すための出発点となります。

この情報が、あなたの自転車ライフをより豊かにするための一助となれば幸いです。

メリットとデメリットを慎重に天秤にかけ、あなたにとって最良の選択をしてください。

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【この記事を書いた人】
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国家資格「自転車技士」を持つサイクリスト。

自身の多くの失敗経験を元に、メンテナンスやロングライドのコツを分かりやすく解説しています。

※記事の執筆には一部AIを利用しております。AIの回答には間違いが含まれている場合があり、必ずしも正しいとは限りません。重要な情報は確認するようにしてください。誤情報による記事の修正依頼はお問い合わせページよりお願いします。
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