自転車を選びにお店へ行くと、必ず目にする「インチ」という言葉。
特にシティサイクル(ママチャリ)でよく見かける「24インチ」と「26インチ」は、どちらを選べばいいか迷ってしまう代表的なサイズではないでしょうか。
「小柄だから24インチの方がいいのかな?」「大人が24インチに乗るのは変じゃない?」「やっぱり大きい方が速いの?」など、様々な疑問が浮かびますよね。
この記事では、自転車の専門的な観点から、24インチと26インチの具体的な違い、それぞれのメリット・デメリット、そして最も重要な「あなたに合ったサイズの選び方」を徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、ご自身の身長や使い方にぴったりの一台を選ぶ自信がついているはずです。
まずは基本!自転車の「インチ」とは?24と26の基本的な違い

自転車ライフナビ・イメージ
サイズ選びの前に、まずは「インチ」が自転車のどの部分を指しているのかを正しく理解しておきましょう。
タイヤの直径(大きさ)が違う
自転車の「インチ」とは、主にタイヤの直径(外径)を表す単位です。
1インチは約2.54cmなので、単純に計算すると以下のようになります。
- 24インチ: 約61cm
- 26インチ: 約5cmの差、約66cm
このタイヤ直径の約5cmの違いが、乗り心地や操作性に様々な影響を与えます。
車体の高さやサドルの最低地上高も変わる
タイヤが大きくなれば、それに合わせて自転車全体のフレーム(骨格)も大きくなります。
結果として、地面からサドルまでの高さ(サドルの最低地上高)や、ハンドルまでの高さも変わってきます。
つまり、「インチ数が違う」ということは、「自転車全体のサイズ感が違う」と捉えるのが正解です。

インチ数が大きいほど、乗り降りの際に足を高く上げる必要があります。この違いが、特に小柄な方にとっては重要なポイントになります。
【一覧表】一目でわかる!24インチと26インチの比較
まずは、それぞれの特徴を比較表で見てみましょう。どちらが自分に合っているか、大まかなイメージを掴んでみてください。
項目 | 24インチ | 26インチ |
適応身長の目安 | 約140cm~ | 約145cm~ |
メリット | ・足つきが良く安心 ・乗り降りが楽 ・小回りが利く ・重心が低く安定 |
・ひと漕ぎで進む距離が長い ・スピードを維持しやすい ・走行が安定する |
デメリット | ・長距離は疲れやすい ・スピードが出にくい |
・小柄な方は足つきが悪い ・車体が大きく重くなりがち |
主な使用者層 | 小柄な方、高齢者、運転に不安のある方、子供乗せ用途 | 一般的な身長の方、通勤・通学など、ある程度の距離を走る方 |
※適応身長はあくまで目安です。メーカーやフレームの設計によって異なります。
サイズ選びで後悔しない!それぞれのメリット・デメリットを徹底解説
一覧表の内容を、さらに詳しく掘り下げていきましょう。ご自身の使い方を想像しながら読み進めてみてください。
24インチ自転車のメリット:小柄な方も安心の安定感
足つきが良く、乗り降りがしやすい
24インチ最大のメリットは、足つきの良さからくる安心感です。サドルを一番下まで下げた時に、両足のつま先、あるいはかかとまでしっかりと地面に着くことができます。
信号待ちでふらつく心配が少なく、スカートを履いている時でもスムーズに乗り降りできるのは大きな魅力です。
重心が低く、ふらつきにくい
タイヤが小さい分、車全体の重心が低く設計されています。
これにより、低速で走っている時や、荷物を乗せている時でも安定感があり、ふらつきにくいと感じる方が多いです。
24インチ自転車のデメリット:速度や長距離走行の観点
漕ぐ回数が多くなりやすい
タイヤの円周が短いため、同じ距離を進むためには26インチよりもペダルを漕ぐ回数が多くなります。
そのため、坂道や長距離を走る際には、少し忙しく感じるかもしれません。
長距離の移動では疲れやすいことも
上記の理由から、通勤や通学などで毎日ある程度の距離を走る場合、26インチに比べて疲れを感じやすい可能性があります。
26インチ自転車のメリット:安定した走行性能とスピード
ひと漕ぎで進む距離が長い
26インチはタイヤの円周が長いため、ペダルをひと漕ぎした時に進む距離が長くなります。
これにより、平坦な道では非常にスムーズで快適な走り心地を体感できます。
スピードに乗りやすく、走行が安定する
一度スピードに乗ってしまえば、その速度を維持しやすいのも26インチの特長です。
タイヤが大きい方が直進安定性が高まるため、スーッと滑るように走ることができ、長距離の移動も楽になります。
26インチ自転車のデメリット:身長によっては扱いにくい?
小柄な方だと足つきが悪い場合がある
適応身長ギリギリの方が乗ると、サドルにまたがった際に両足が地面から浮いてしまい、つま先立ちになってしまうことがあります。
停車時にバランスを崩しやすくなるため、不安を感じるかもしれません。
車体が大きく重くなる傾向
インチ数が大きい分、車体も大きく、重量も重くなるのが一般的です。
駐輪場での出し入れや、スタンドを立てる際に「ちょっと重いな」と感じることがあるかもしれません。

大切なのは「乗れる」ことではなく「安全に乗りこなせる」ことです。適応身長内であっても、足つきに不安があれば、無理せずワンサイズ下を検討するのが賢明ですよ!
あなたに合うのはどっち?身長と用途で選ぶ最適なインチ
メリット・デメリットを理解したところで、いよいよご自身に合った一台を選んでいきましょう。「身長」と「用途」、この2つの軸で考えるのがおすすめです。
適応身長から選ぶ【身長別おすすめインチ早見表】
まずは最も基本的な判断基準である「身長」から見ていきましょう。
あなたの身長 | おすすめのインチ | ポイント |
~145cm | 24インチ | 迷わず24インチがおすすめ。安全性を最優先しましょう。 |
145cm~155cm | 24インチ または 26インチ | 最も迷いやすい身長ゾーン。足つきや安心感を重視するなら24インチ、走行性能を重視するなら26インチ。試乗が必須です。 |
155cm~ | 26インチ | 26インチで問題なく乗りこなせる場合が多いです。より長身の方は27インチも視野に入ります。 |
主な使い方(用途)から選ぶ
身長だけでなく、どんな場面で自転車を使いたいかも重要な判断材料です。
毎日の買い物や近所の移動がメインの場合
→ 24インチがおすすめ
ストップ&ゴーが多く、荷物を持って乗り降りする機会が多い近所の利用では、足つきが良く小回りが利く24インチが非常に便利です。
通勤・通学で少し長めの距離を走る場合
→ 26インチがおすすめ
片道20分以上など、ある程度の距離を走るのであれば、走行性能に優れた26インチの方が快適です。ペダルを漕ぐ回数が少なく済むため、疲れにくさを実感できるでしょう。
子供の送り迎えでチャイルドシートを付ける場合
→ 24インチ(または20インチ)が断然おすすめ
【子供乗せ自転車とインチの関係】
子供乗せ自転車を選ぶ際に、見落とされがちですが非常に重要なのがインチ選びです。特に電動アシスト自転車の場合、車体自体が重いため、安全性が何よりも優先されます。
- 重心の低さ: 24インチは26インチに比べて重心が低いため、お子様を乗せた際の安定感が格段に向上します。ふらつきが少なく、カーブも安心して曲がれます。
- 乗せ降ろしのしやすさ: サドル位置が低いため、お子様を抱きかかえて自転車を支える際の安定感が違います。地面に足がしっかり着くことで、万が一の時も踏ん張りが効きます。
近年では、前後にチャイルドシートを付けることを前提とした「20インチ」の子供乗せ専用モデルも人気です。24インチよりもさらに重心が低く、安定性は抜群です。走行性能よりもお子様の安全と乗せ降ろしのしやすさを最優先するなら、20インチも強力な選択肢となります。
購入前に知りたい!24・26インチ自転車のよくある質問
最後に、お客様からよくいただく質問にお答えします。
Q. 大人が24インチの自転車(ママチャリ)に乗るのはおかしい?
A. 全くおかしくありません。むしろ賢い選択です。
身長に合っていれば、大人が24インチに乗ることに何の問題もありません。最近では、小柄な大人向けにおしゃれなデザインの24インチモデルも多数販売されています。
「大きい方が大人用」という先入観は捨てて、ご自身の体格と用途に合った、安全で快適な一台を選びましょう。
Q. インチが大きいとスピードは速くなる?
A. 「スピードを維持しやすい」が正確な答えです。
同じギア比で同じ回転数でペダルを漕いだ場合、確かにインチ数が大きい方が速く進みます。しかし、自転車の最高速度は、ギアの構成や漕ぐ人の脚力など、様々な要因で決まります。
単純に「インチが大きい=速い」と考えるよりは、「26インチはスピードに乗ると快適に走り続けやすい」と理解しておくと良いでしょう。
Q. 実際にまたがって試乗する際のチェックポイントは?
A. これだけはチェック!【プロが教える試乗のコツ】
カタログスペックだけではわからない乗り心地を確かめるために、試乗は必須です。以下の5つのポイントを必ず確認してください。
- サドルを一番下にしてまたがり、両足のつま先が地面に着くか?→ 安全の基本です。全く足が着かない場合はサイズが合っていません。
- サドルに座ってハンドルを握った時、腕や上半身が窮屈でないか?→ 小さすぎると膝がハンドルに当たることもあります。
- ブレーキレバーに指が自然に届き、しっかり握れるか?→ 手の小さい方は特に重要です。
- 実際に少し漕いでみて、ふらつかないか?カーブはスムーズか?→ 低速時の安定性を確認しましょう。
- スタンドを楽に立てたり外したりできるか?→ 意外と見落としがちな日常の使い勝手です。重すぎると毎日の利用が億劫になります。
Q. 27インチとの違いは?
A. 27インチは、主に高身長の方向けのサイズです。
26インチよりもさらに走行性能が高く、長距離を走るのに適しています。適応身長の目安は155cm以上、特に160cm以上の方におすすめされることが多いサイズです。通勤・通学で自転車をメインに使う男性などに人気があります。
まとめ:自分にぴったりの一台を見つけて快適な自転車ライフを

自転車ライフナビ・イメージ
自転車の24インチと26インチの違い、そして選び方について解説しました。
最後に、大切なポイントをもう一度おさらいします。
- 「インチ」はタイヤの直径。自転車全体の大きさに関わる。
- 24インチは「安定感と安心感」、26インチは「走行性能とスピード」が魅力。
- 選ぶ基準は「身長」と「用途」の2つ。
- 迷ったら必ず「試乗」して、乗り心地を体感する。
この記事を参考に、ぜひあなたにとって最高のパートナーとなる一台を見つけてください。
安全で快適な自転車があれば、毎日のお出かけがもっと楽しくなるはずです。
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