自転車に乗っているときに、前輪から「ブーン」という聞き慣れない異音がして、不安に感じていませんか?
通勤や通学で毎日自転車を使っている人にとって、突然の異音は大きなストレスですよね。
異音を放置すると、ブレーキの効きが悪くなったり、車輪がロックしたりと、大きな事故につながる可能性も否定できません。
しかし、ご安心ください。
この「ブーン」という異音の原因は、実は自分で簡単に解決できるものがほとんどです。
この記事では、自転車の前輪から「ブーン」と異音がする原因を徹底的に解説し、自分でできる具体的な対処法を5つ、初心者にもわかりやすくご紹介します。
この記事を読めば、異音の原因を特定し、適切な処置を施せるようになります。
安全で快適なサイクリングを、再び手に入れましょう。
自転車の前輪から「ブーン」と異音がする原因を特定する方法
まず結論からお伝えします。
自転車の前輪から「ブーン」という異音がする場合、その原因のほとんどは「ブレーキ」か「ハブ」にあります。
しかし、異音の種類や発生するタイミングによって、原因を絞り込むことができます。
まずは異音の聞こえ方をじっくりと観察してみましょう。
異音の種類と発生タイミングで原因を特定しよう
「ブーン」という音にも、いくつか種類があることをご存知でしょうか?
異音の種類と、それがいつ発生するかを把握することで、原因をより正確に特定できます。
- 「ブーン」という低く、こもった音
- 走行中、常に鳴り続ける:ハブの不調や、タイヤと何かが擦れている可能性が高いです。
- ブレーキをかけた時だけ鳴る:ブレーキとリム・ディスクローターの接触、またはブレーキパッドの異常が考えられます。
- 「キーキー」「シャーシャー」という甲高い音
- 走行中、常に鳴り続ける:ブレーキの微細な接触が主な原因です。
- ブレーキをかけた時だけ鳴る:ブレーキパッドの汚れや摩耗、リムやディスクローターの汚れが原因です。
- 「ゴリゴリ」「ガラガラ」という感触のある音
- 車輪を回したときに感じる:ハブのベアリングが破損している可能性が高いです。
- 走行中、段差などで鳴る:泥除けやワイヤーが車輪に当たっているかもしれません。
あなたの自転車の異音は、どれに当てはまりますか?

前輪の異音「ブーン」の原因:ブレーキ編
最も多い原因は、ブレーキ周りの不調です。
走行中に「ブーン」という音が断続的に聞こえる場合、ブレーキがリムやディスクローターに少しだけ接触している可能性が高いです。
原因① ブレーキ本体の位置ずれ
ホイールの取り付けが不十分だったり、強い衝撃が加わったりすると、ブレーキ本体の位置がずれることがあります。
ブレーキがずれると、ブレーキパッド(シュー)と車輪の隙間が左右で不均等になり、どちらかが常に接触してしまいます。
原因② リムやディスクローターの歪み
強い衝撃や経年劣化によって、リムやディスクローターが歪んでしまうことがあります。
歪んだ部分がブレーキパッド(シュー)に周期的に接触することで、「ブーン」という音が鳴り続けます。
目視で歪みが確認できない場合でも、わずかな歪みが異音の原因になっていることがほとんどです。
原因③ ブレーキパッド(シュー)の摩耗や汚れ
ブレーキシューが極端に摩耗していたり、ガラス片などの異物が付着していると、リムとの摩擦時に異音が発生します。
ディスクブレーキの場合も同様で、パッドに汚れが付着したり、摩耗して金属部分が露出し始めると、異音の原因になります。
前輪の異音「ブーン」の原因:ハブ編
車輪の回転を司る「ハブ」の不調も、前輪の異音の大きな原因です。
走行中や車輪を空回りさせた時に、「ゴリゴリ」とした感触を伴う「ブーン」という音がする場合は、ハブのベアリングに問題があるかもしれません。
原因④ ハブ内部のベアリング劣化・グリス切れ
ハブ内部にあるベアリングは、車輪をスムーズに回転させるための重要な部品です。
長期間の使用や雨天時の走行により、ベアリングが摩耗したり、潤滑剤であるグリスが切れてしまうと、摩擦抵抗が増大します。
これにより、「ブーン」や「ゴリゴリ」という異音が発生するのです。
ハブのグリスアップは、自転車の寿命を延ばすために非常に重要なメンテナンスです。
原因⑤ ハブナットの緩み
クイックリリースレバーやハブナットの締め付けが不十分だと、ハブにガタつきが生じ、異音の原因になることがあります。
また、ハブの玉押し調整が不適切だと、回転が重くなったり、逆にガタついたりして異音が発生します。
その他の異音の原因
ブレーキやハブ以外にも、以下のような原因が考えられます。
- 泥除け(フェンダー)とタイヤの接触:泥除けがずれて、走行中にタイヤと擦れることで「ブーン」という音が鳴ることがあります。
- スポークの緩み:車輪を構成する細い金属の棒(スポーク)が緩んでいると、振動で音が鳴る場合があります。
- タイヤの空気圧不足:空気圧が低いと、地面との接地面が広がり、走行時に独特の音がすることもあります。
- ライトやカゴなどの部品の緩み:前輪付近に取り付けられている部品が緩んでいて、走行中に振動して音を立てていることもあります。
自転車の前輪の異音「ブーン」を自分で解決する5つの対処法
異音の原因が特定できたら、いよいよ具体的な対処法を試してみましょう。
ここでは、特別な工具がなくてもできる簡単な方法から、少し手間のかかる方法まで、5つのステップで解説します。
【対処法1】ホイールの取り付け状態をチェック・締め直しする
最も簡単で、すぐに試せるのがこれです。
まずは、ホイールがフレームに正しく、そしてしっかりと取り付けられているか確認しましょう。
クイックリリース式の場合
クイックリリースレバーは、緩んでいるとホイールがずれ、ブレーキに接触する原因になります。
レバーを一度完全に緩めて、前輪を真上から見てフレームの真ん中に来るように調整し、再度レバーをしっかりと締めます。
締め付けは、レバーが手のひらで押してようやく閉まる程度の力加減が目安です。
ナット式の場合
左右のハブナットが緩んでいないか、スパナを使って確認しましょう。
ナットを締め付ける際は、左右均等に少しずつ締めていくのがポイントです。
【対処法2】ブレーキのセンター調整をする
ホイールの取り付けに問題がない場合は、ブレーキの位置がずれている可能性があります。
ブレーキの種類によって調整方法が異なりますが、基本的な考え方は同じです。
Vブレーキの場合:テンションアジャスターを回す
Vブレーキには、左右のブレーキアームの開き具合を調整する小さなネジ(テンションアジャスター)が付いています。
このネジをプラスドライバーで回して、リムとブレーキシューの間隔が左右均等になるように調整します。
音が鳴る方のネジを少し緩め、反対側のネジを少し締めることで、センターを調整できます。
より詳細な調整が必要な場合は、ワイヤーの張り具合を調整するインナーワイヤー固定ボルトを緩めて調整する方法もあります。
ディスクブレーキの場合:キャリパーの位置調整
ディスクブレーキキャリパーは、通常2本のボルトでフレームに取り付けられています。
このボルトを少し緩め、ブレーキレバーを握った状態でボルトを締め直すと、キャリパーが自動的にローターに対して正しい位置に調整されます。
この方法は、ディスクブレーキのセンター出しの基本中の基本です。
それでも改善しない場合は、ディスクローターが歪んでいる可能性があります。
軽度の歪みなら無理のない範囲で手で修正することも可能ですが、専用工具のローター修正器を使用すると、より安全かつ正確に修正できます。
▼ディスクローターの歪み調整に必要な「ローター修正器」はこちら
詳細を見る
【対処法3】ハブのグリスアップまたは交換を検討する
車輪を回した時に「ゴリゴリ」とした感触があったり、スムーズに回らない場合は、ハブのベアリングに問題があるかもしれません。
ハブの分解・グリスアップは少し専門的な作業になります。
ハブのグリスアップに必要な工具は、以下の通りです。
- 玉押し調整用のハブスパナ
- モンキーレンチ
- パーツクリーナー
- 自転車用の専用グリス
手順は以下の通りです。
- ホイールを自転車から外す
- ハブナットと玉押しを緩め、ハブを分解する
- 古いグリスや汚れをパーツクリーナーで丁寧に洗浄する
- ベアリング部分に新しいグリスをたっぷり塗布する
- ハブを組み立て、玉押し調整を行う
玉押し調整は、ガタつきがなく、かつスムーズに回るように微妙な力加減が必要です。
この調整が不十分だと、ベアリングが破損したり、車輪がロックする危険性があります。
また、ベアリング自体が破損している場合は、ハブの交換が必要になります。

【対処法4】泥除けやワイヤーの干渉を確認する
意外と見落としがちなのが、泥除けやワイヤー類との干渉です。
走行中の振動で、泥除けやブレーキワイヤーなどが前輪に触れてしまうことがあります。
特に「ブーン」という低音の異音は、タイヤと泥除けが擦れている可能性が高いです。
まずは、以下の手順で確認してみましょう。
- 自転車を軽く揺らしながら、タイヤと泥除けの間隔を目視で確認する。
- 泥除けがずれている場合は、固定しているボルトを緩めて位置を調整する。
- ワイヤーがタイヤに触れていないか確認し、必要であれば結束バンドなどで固定する。
これだけで異音がピタリと止まることもありますので、見過ごさずに確認してみてください。
【対処法5】タイヤの空気圧や状態を確認する
タイヤの空気圧が低いと、地面との接地面が広がり、走行時に独特の「ブーン」という振動音が発生することがあります。
まずは適正な空気圧に調整してみましょう。
また、タイヤ自体にひび割れや、何か異物が刺さっていないかも確認してください。
これらの異常が見つかった場合は、タイヤの交換が必要です。
「空気入れを持っていない」という方は、高機能な空気入れの購入も検討してみてはいかがでしょうか。
日々のメンテナンスが、自転車のトラブルを防ぐ一番の近道ですよ。
プロに頼むべきケースと費用の目安
これまでに紹介した方法を試しても異音が解消しない場合や、原因が特定できない場合は、無理に自分で解決しようとしないことが重要です。
特に以下のようなケースは、プロの整備士に任せることを強くおすすめします。
- ハブのベアリングが破損している場合:ベアリングの交換には専門的な知識と工具が必要です。
- ディスクローターの歪みがひどい場合:無理な修正はさらに状態を悪化させる可能性があります。
- スポークの緩みや折れがある場合:ホイールのバランスが崩れ、走行が不安定になります。
- 原因がどうしてもわからない場合:複数の原因が絡み合っている可能性もあります。
自転車専門店に依頼する際の費用目安
依頼する内容や店舗によって費用は異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- ブレーキ調整:1,000円〜2,000円程度
- ハブのグリスアップ:2,000円〜4,000円程度
- ハブの交換:4,000円〜6,000円程度(パーツ代別)
- タイヤ・チューブ交換:1,500円〜2,500円程度(パーツ代別)
まとめ:前輪の異音「ブーン」の原因を特定して早めに対処しよう!
自転車の前輪から聞こえる「ブーン」という異音は、ほとんどの場合、ブレーキかハブ、またはその周辺の部品の不調が原因です。
まずは異音の種類や発生タイミングを観察し、原因を特定することから始めましょう。
この記事でご紹介した5つの対処法を順に試すことで、あなたの自転車の異音もきっと解消できるはずです。
- ホイールの取り付け状態を確認
- ブレーキのセンター調整をする
- ハブのグリスアップを試す
- 泥除けやワイヤーの干渉を確認
- タイヤの空気圧や状態を確認
それでも解決しない場合は、無理せず自転車専門店に持ち込むことが、安全に長く自転車を楽しむための最善策です。
日々の簡単なチェックと定期的なメンテナンスを心がけるだけで、自転車の寿命はぐっと延びます。
この記事が、あなたの快適な自転車ライフを取り戻す一助となれば幸いです。
【関連記事】
【参考資料】