毎日使っている自転車のギアが、ある日突然うまく変わらなくなった経験はありませんか。
ペダルを漕いでもギアが切り替わらなかったり、意図しないタイミングで変速してしまったりすると、走行中にストレスを感じるだけでなく、思わぬ事故につながる危険性もあります。
特に、通勤や通学、買い物などで日常的に自転車を利用する方にとって、ギアの不具合は深刻な問題です。
この記事では、自転車のギアが変わらなくなる主な原因から、自分でできる簡単な調整方法、さらにはママチャリ特有の内装ギアのトラブル対処法まで、徹底的に解説します。
専門的な知識がない方でも理解できるよう、写真や図解を交えながら、一から丁寧に説明していきますのでご安心ください。
また、自分で修理するのが難しいと感じた場合に、プロに依頼した際の料金相場についても触れています。
この記事を最後まで読めば、あなたの自転車のギアトラブルはきっと解決するはずです。
定期的なメンテナンスの重要性も理解し、より快適で安全な自転車ライフを送りましょう。
自転車のギアが変わらないときに考えられる原因

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自転車のギアがスムーズに変わらない状態には、必ず何らかの原因が潜んでいます。
原因を正しく特定することが、迅速な解決への第一歩となります。
ここでは、ギアトラブルを引き起こす代表的な3つの原因について、そのメカニズムと共に詳しく解説していきます。
ワイヤーの伸びや劣化が根本的な原因
ハンドル部分にあるシフター(変速レバー)と、後輪付近にあるディレイラー(変速機)は、「ワイヤー」と呼ばれる金属製のケーブルで繋がっています。
シフターを操作すると、このワイヤーが引っ張られたり緩んだりすることでディレイラーが動き、チェーンを異なる大きさのギア(スプロケット)へと誘導する仕組みです。
しかし、このワイヤーは金属製とはいえ、長期間使用していると徐々に伸びてしまいます。
新品の自転車でも、初期伸びといって、乗り始めてから早い段階でワイヤーが少し伸びることが一般的です。
ワイヤーが伸びると、シフターを操作したときにディレイラーを正確な位置まで動かすことができなくなり、「変速が一段ずれる」「特定のギアに入らない」といった症状が現れます。
また、ワイヤーは「アウターケーブル」という保護用のチューブの中を通っていますが、このアウターケーブルの内部に雨水やホコリが侵入すると、ワイヤーの動きが渋くなります。
ワイヤー自体がサビてしまったり、ほつれて数本の素線が切れてしまったりすることも、摩擦抵抗を増大させ、スムーズな変速を妨げる大きな原因となります。
ディレイラー(変速機)の調整がずれている
ディレイラーは、チェーンを正確にスプロケットへ移動させるための精密なパーツです。
このディレイラーの位置が、本来あるべき正しい位置からずれてしまうと、ギアは正常に変わらなくなります。
調整のずれは、いくつかの要因によって引き起こされます。
最も多いのは、走行中の振動や、自転車を倒してしまった際の衝撃です。
ディレイラーハンガーと呼ばれる、フレームとディレイラーを繋ぐ部分がわずかに曲がってしまっただけでも、全体の調整は大きく狂ってしまいます。
ディレイラーには、その可動範囲を制限するための「トップ側調整ボルト(H)」と「ロー側調整ボルト(L)」という2本のネジがあります。
トップ側調整ボルトは、チェーンが最も外側の小さなギア(トップギア)からさらに外へ脱落しないように。
ロー側調整ボルトは、チェーンが最も内側の大きなギア(ローギア)からさらに内側のスポーク側へ脱落しないように、それぞれディレイラーの動きの限界点を設定しています。
これらの調整がずれていると、特定のギアに入らなかったり、チェーンが外れたりする原因となります。
チェーンのサビや油切れによる動作不良
チェーンは、ペダルを漕ぐ力を後輪に伝える、自転車の心臓部とも言えるパーツです。
このチェーンが正常に機能していなければ、ディレイラーがいくら正確に動いても、スムーズな変速は望めません。
チェーンのトラブルで最も多いのが、サビと油切れです。
雨ざらしでの保管や、雨天走行後のメンテナンスを怠ると、チェーンは簡単にサビてしまいます。
サビたチェーンは、一つ一つの駒(リンク)の動きが固くなり、柔軟性を失います。
その結果、ディレイラーによって横方向に押されてもスムーズに曲がらず、隣のギアにうまく乗り移ることができなくなってしまうのです。
また、チェーンには潤滑と保護のために専用のオイルが塗布されていますが、走行を重ねるうちにオイルは汚れと共に流れ落ちてしまいます。
油切れの状態になると、金属同士の摩擦が大きくなり、変速時の抵抗が増大します。
「ガチャン」という大きな音と共に変速したり、変速に時間がかかったりする場合は、チェーンの油切れが原因である可能性が高いでしょう。
さらに、長年使用したチェーンは、プレートをつなぐピンが摩耗することで、全体が伸びてしまいます。
伸びたチェーンはギアの歯とのかみ合わせが悪くなり、変速性能の低下だけでなく、走行中に「歯飛び」と呼ばれる滑りを起こす原因にもなります。
【自分でできる】自転車のギアが変わらないときの直し方

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ギアトラブルの原因がわかったところで、次はいよいよ実践編です。
専門的な知識や高価な工具がなくても、基本的な調整であれば自分で行うことが可能です。
ここでは、特に一般的な外装ギア(ギアが外に露出しているタイプ)の自転車を対象に、具体的な調整方法を手順に沿って解説します。
用意する工具と服装について
作業を始める前に、いくつか必要な工具を準備しましょう。
これらはホームセンターや自転車店で手軽に入手できるものばかりです。
- プラスドライバー、マイナスドライバー:ディレイラーの調整ボルトに使用します。
- 六角レンチ(アーレンキー)セット:ワイヤーの固定ボルトなど、様々な場所で使われます。特に4mm、5mmあたりは使用頻度が高いです。
- ペンチ(プライヤー):ワイヤーを引っ張る際に役立ちます。ワイヤーカッター機能付きのものだとさらに便利です。
- チェーンオイル(潤滑剤):チェーンやディレイラーの可動部に注油します。
- ウエス(古い布):汚れを拭き取ったり、余分なオイルを拭き取ったりするのに使います。
- パーツクリーナー(脱脂剤):チェーンやギアの古い油汚れを落とす際に使用します。
服装は、油で汚れても構わない作業着や普段着を選びましょう。
チェーンやギア周りは油と泥で非常に汚れやすいため、軍手や作業用グローブを着用すると、手の汚れを防ぎ、ケガの予防にもなります。
自転車を逆さまにするか、メンテナンススタンドがあると、後輪を浮かせた状態でペダルを回せるため、作業が格段にしやすくなります。
基本的なディレイラーの調整方法
ディレイラーの調整は、一見難しそうに見えますが、手順通りに行えば誰でも可能です。
ここではリアディレイラー(後輪の変速機)の調整を例に説明します。
- 初期位置の確認:まず、チェーンを最も外側の、一番小さいギア(トップギア)にセットします。シフターを操作して、数字が大きい方のギアに入れてください。
- トップ側調整ボルト(Hボルト)の調整:自転車の後ろから見て、ディレイラーの2つの小さな歯車(プーリー)と、トップギアが一直線上に並んでいるか確認します。ずれている場合は、トップ側調整ボルト(「H」と刻印されていることが多い)をドライバーで回して調整します。右に回すとディレイラーが外側に、左に回すと内側に動きます。プーリーがトップギアの真下に来るように微調整してください。
- ロー側調整ボルト(Lボルト)の調整:次に、シフターを操作して、チェーンを最も内側の、一番大きいギア(ローギア)にセットします。このとき、ペダルを手でゆっくり回しながら変速させてください。チェーンがローギアよりも内側(スポーク側)に落ちてしまう場合は、ロー側調整ボルト(「L」と刻印されていることが多い)を右に回して、内側への動きを制限します。逆に、ローギアにスムーズに上がらない場合は、少しだけ左に回して可動域を広げます。チェーンがスポークに接触しないギリギリの位置に設定するのが理想です。
- Bテンションボルトの調整:ディレイラー本体から斜め後ろに突き出している「Bテンションボルト」は、ディレイラーのガイドプーリー(上の小さな歯車)とスプロケット(ギア板)との距離を調整する役割があります。ローギアに入れた状態で、この距離ができるだけ近くなるように(ただし接触はしない程度に)調整するのが基本です。ボルトを右に回すと距離が離れ、左に回すと近づきます。
これらのリミット調整(HボルトとLボルト)が完了すれば、少なくともチェーンが外れる危険性は大幅に減少します。
ワイヤーの張りを調整する手順
ディレイラーの可動範囲を決めるリミット調整が終わったら、次は変速を一段ずつ正確に行うためのワイヤーの張り(テンション)調整です。
ギアが変わらない、あるいはスムーズに変わらない原因の多くは、このワイヤーの張りが不適切なことにあります。
- アジャストボルトを初期位置に戻す:ワイヤーの微調整は、主にディレイラーの根元やシフターの付け根にある「アジャストボルト(アジャスターバレル)」を回して行います。本格的な調整を始める前に、このアジャストボルトを一度時計回りに回しきってから、反時計回りに1~2回転ほど戻しておきます。これにより、後で張りを強くする方向にも弱くする方向にも調整の余地が生まれます。
- ワイヤーの初期固定:チェーンをトップギア(一番小さいギア)に入れた状態で、ディレイラーのワイヤー固定ボルトを六角レンチで緩めます。ペンチなどでワイヤーを軽く引っ張り、たるみがない状態(張りすぎない程度)で再度ボルトを締めて固定します。
- 一段ずつ変速を確認:ペダルを手で回しながら、シフターを操作して一段ずつギアを上げていきます(ローギア側に変速)。
- ギアがスムーズに上がらない場合:ワイヤーの張りが足りていません。ディレイラーのアジャストボルトを反時計回りに少し(1/4回転程度)ずつ回して、張りを強くします。
- ギアが上がりすぎてしまう、またはカチカチと音がする場合:ワイヤーの張りが強すぎます。アジャストボルトを時計回りに回して、張りを弱めます。
- 全体の確認:トップギアからローギアまで、そしてローギアからトップギアまで、一段ずつスムーズに変速できるかを確認します。途中で引っかかりや音鳴りがある場合は、そのギアの位置でアジャストボルトによる微調整を繰り返します。
このワイヤー張りの調整が、ギア調整の最も重要なポイントです。
焦らず、少しずつ調整しては動作を確認する、という作業を繰り返すことが成功の秘訣です。
ママチャリ特有!内装ギアのトラブルと直し方

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通勤や買い物で大活躍のママチャリ(シティサイクル)には、スポーツバイクとは異なる「内装ギア」が搭載されているモデルが多く存在します。
この内装ギアは、外装ギアとは構造が全く異なるため、トラブルの原因や対処法も特有のものです。
ここでは、ママチャリユーザーが知っておくべき内装ギアの知識と、簡単な直し方について解説します。
内装ギアと外装ギアの違いとは?
まず、内装ギアと外装ギアの根本的な違いを理解しましょう。
外装ギアは、ここまで説明してきたように、ディレイラー(変速機)がスプロケット(ギア歯)の上でチェーンを物理的に移動させることで変速します。
ギアの機構が全て外に露出しているため、メンテナンスや調整がしやすい反面、雨風や衝撃に弱いというデメリットがあります。
一方、内装ギアは、変速機構の全てが後輪のハブ(車軸の中心部分)の内部に密閉されています。
ハブ内部にある遊星歯車機構という複雑な歯車の組み合わせを変えることで、変速を行います。
この構造により、以下のようなメリットとデメリットが生まれます。
内装ギア | 外装ギア | |
メリット | ・故障が少なく、耐久性が高い ・メンテナンス頻度が少ない ・停車中でも変速が可能 ・チェーンが外れにくい |
・多段化が容易(7段以上) ・軽量なモデルが多い ・機構がシンプルで調整しやすい |
デメリット | ・重量が重い ・内部の修理は専門知識が必要 ・変速段数が少ない(主に3段) |
・雨風や衝撃に弱い ・定期的な清掃や注油が必要 ・停車中の変速はできない |
このように、内装ギアは日常使いに適した、非常にメンテナンスフリーなシステムですが、一度トラブルが起きると、その密閉された構造ゆえに原因の特定や修理が難しくなる傾向があります。
2速に入れて調整するのが基本
内装ギアの不具合で最も多いのは、「ワイヤーの伸びによる調整のずれ」です。
これは外装ギアと同じですが、調整方法が異なります。
多くのメーカー(特にシェアの高いシマノ製)の内装3段変速機では、特定のギアポジションで目印を合わせることで、ワイヤーの張りを簡単に調整できるようになっています。
その基本となるのが、「シフターを2速に入れる」ことです。
調整手順は以下の通りです。
- シフターを操作して、ギアを「2」の位置に合わせます。
- 後輪のハブ付近を確認します。ハブから伸びている変速ワイヤーの先に、小さなプラスチックの窓(表示窓)が付いた部品があるはずです。これが「ベルクランク」と呼ばれるパーツです。
- 表示窓を覗き込むと、中に黄色や赤色の線(マーカー)が見えます。ギアが2速に入っている状態で、このマーカーが基準線とぴったり合っているのが正しい状態です。
- もしマーカーがずれている場合は、ワイヤーの途中にある「調整ナット」を手で回して調整します。ナットを右に回すとワイヤーが張られ、マーカーが動き、左に回すとワイヤーが緩みます。マーカーが基準線に重なるように微調整してください。
たったこれだけの作業で、内装ギアの不具合の多くは解消されます。
変速がおかしいと感じたら、まずはこの「2速に入れてマーカーを合わせる」という作業を試してみてください。
調整しても直らない場合は部品交換も検討
上記の調整を行ってもギアが変わらない、または特定のギアに入らないといった症状が改善されない場合、他の原因が考えられます。
一つは、外装ギアと同様に「ワイヤー自体の劣化」です。
ワイヤーがサビて動きが固くなっていたり、ほつれていたりすると、調整だけでは正常な動作は望めません。
この場合は、ワイヤーを新しいものに交換する必要があります。
もう一つ考えられるのが、「ハブ内部のトラブル」です。
長年の使用による内部部品の摩耗や、グリス切れによる動作不良などが原因です。
しかし、前述の通り、内装ハブの分解・整備は非常に複雑で、専門的な知識と特殊な工具を必要とします。
知識がないまま分解すると、元に戻せなくなる可能性が非常に高いです。
ワイヤー調整で直らず、原因がハブ内部にあると疑われる場合は、無理に自分で解決しようとせず、素直に自転車店に相談することをおすすめします。
プロに任せるのが、結果的に最も安全で確実な方法です。
ギアが固い・空回りするときの対処法

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ギアが「変わらない」だけでなく、「動きが固い」「ペダルを漕いでも進まない(空回りする)」といった症状も、サイクリストを悩ませる一般的なトラブルです。
これらの問題も、原因を突き止めれば適切に対処することが可能です。
快適な走行を取り戻すためのポイントを解説します。
グリス切れやサビによる固着
ギアチェンジの際にシフター(変速レバー)の動きが異常に固い、またはディレイラーの動きが鈍いと感じる場合、潤滑不足が主な原因として考えられます。
ディレイラーには、スムーズに動くための複数の可動部(ピボット)があります。
これらの部分に雨水や汚れが付着し、元々塗布されていたグリスやオイルが流れ落ちてしまうと、金属同士の摩擦が大きくなり、動きが著しく悪くなります。
特に、雨天走行後や洗車後に適切な注油を怠ると、サビが発生して固着してしまうこともあります。
対処法はシンプルで、まずはディレイラーの可動部をパーツクリーナーやブラシを使ってきれいに清掃し、古い油や汚れを徹底的に除去します。
その後、可動部に新しいチェーンオイルや潤滑スプレーを少量注油します。
注油後は、手でディレイラーを動かしたり、変速操作を繰り返したりして、潤滑剤を内部に行き渡らせましょう。
シフター内部やワイヤーの通り道が原因で固くなっている場合もありますが、まずは最も汚れやすいディレイラーのメンテナンスから試してみるのが効果的です。
長期間使わないこともギアが固くなる原因に
自転車に乗る機会が少なく、長期間屋外や湿気の多い場所に保管していると、ギアトラブルが発生しやすくなります。
乗っていなくても、空気中の水分によってチェーンやワイヤー、ディレイラーの可動部にサビが発生します。
また、潤滑用のオイルやグリスは時間と共に劣化・硬化し、本来の性能を失ってしまいます。
久しぶりに乗ろうとしたらシフターが全く動かなかった、というケースは、この潤滑剤の劣化による固着が原因であることが多いです。
この場合も、対処法は基本的にグリス切れのケースと同じです。
まずはサビや古いグリスを丁寧に除去し、新しい潤滑剤を注油することから始めます。
ただし、サビの進行がひどい場合や、ワイヤーがアウターケーブル内で完全に固着してしまっている場合は、部品の交換が必要になることもあります。
長期間自転車を保管する際は、室内や雨風の当たらない場所に置き、カバーをかけておくことが、このようなトラブルを防ぐ上で非常に重要です。
チェーンが外れたり緩んだりしている
ペダルを漕いでいるのに、力が伝わらず空回りするような感覚がある場合、いくつかの原因が考えられます。
最も単純な原因は、「チェーンが完全に外れてしまっている」ケースです。
ディレイラーの調整不良や、走行中の大きな衝撃によってチェーンがギアから脱落することがあります。
この場合は、手でチェーンを元のギアにかけ直せば走行可能になりますが、頻繁に外れるようであれば、ディレイラーのリミット調整(Hボルト、Lボルト)を見直す必要があります。
もう一つ、厄介なのが「フリーハブの固着」です。
後輪のハブ内部には、ペダルを漕ぐのをやめたときにホイールだけが空転するための「ラチェット機構(フリーボディ)」が備わっています。
この内部の爪が、古いグリスの固着やサビによって正常に作動しなくなると、ペダルを前に漕いでも爪がギアに引っかからず、空回りしてしまいます。
冬の寒い日に発生しやすいトラブルでもあります。
この症状が出た場合、ハブ内部の分解・洗浄が必要となるため、専門的な知識がなければ自転車店に修理を依頼するのが賢明です。
また、チェーンが伸びきっている場合や、ギアの歯が摩耗して丸くなっている場合も、チェーンがギアの歯を乗り越えてしまう「歯飛び」という現象が起き、空回りに似た感覚を引き起こすことがあります。
修理をプロに依頼する場合の料金相場

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自分で調整や修理を試みても改善しない場合や、作業に自信が持てない、あるいは時間がないという方も多いでしょう。
そんなときは、無理をせず自転車のプロフェッショナルである自転車店に相談するのが最善の選択です。
安全に関わる部分だからこそ、確実な修理が求められます。
ここでは、プロに修理を依頼するメリットと、気になる料金の目安について解説します。
自転車屋さんに修理を頼むメリット
自転車店に修理を依頼することには、多くのメリットがあります。
第一に、「正確な原因究明と確実な修理」が挙げられます。
経験豊富な整備士は、症状を見ただけ、あるいは少し触っただけで、トラブルの根本的な原因を素早く特定できます。
我々がワイヤーの張りの問題だと思っていても、実はディレイラーハンガーの微妙な曲がりが原因だった、ということも少なくありません。
第二に、「専門的な工具と豊富な知識」です。
自転車の修理には、時として一般家庭にはない特殊な工具(SST)が必要になります。
また、内装ギアの分解や油圧ディスクブレーキのエア抜きなど、高度な専門知識を要する作業も、プロなら安全かつ迅速に行うことができます。
第三のメリットは、「安全性の確保」です。
不適切な修理は、走行中の重大な事故につながる可能性があります。
プロによる整備は、安全基準を満たした確実な作業を保証してくれます。
修理後の点検や、他の箇所の不具合についてのアドバイスをもらえることもあり、総合的な安心感が得られます。
ワイヤー交換や調整の料金目安
実際に自転車店に修理を依頼した場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
店舗の立地や規模、自転車の種類によって料金は変動しますが、一般的な料金相場は以下の通りです。
修理内容 | 料金目安(部品代・工賃込み) | 作業内容の目安 |
変速調整 | 1,000円 ~ 3,000円 | ディレイラーの調整、ワイヤーの張り調整など。 |
変速ワイヤー交換 | 2,000円 ~ 4,000円 | 古くなったワイヤーを新品に交換し、再調整する。 |
チェーン交換 | 3,000円 ~ 5,000円 | 伸びたりサビたりしたチェーンを新品に交換する。 |
ディレイラー交換 | 5,000円 ~ | 破損したディレイラーを交換する。部品代により大きく変動。 |
全体的な点検・調整 | 4,000円 ~ 8,000円 | 変速、ブレーキ、各部の増し締めなど総合的なメンテナンス。 |
あくまでこれは目安であり、使用する部品のグレードや、作業の複雑さによって料金は変わります。
例えば、ワイヤー交換一つとっても、ハンドルの形状によっては多くの部品を脱着する必要があり、工賃が高くなる場合があります。
修理を依頼する際は、事前に作業内容と見積もり金額をしっかりと確認することが大切です。
複数の修理が必要な場合は、個別に頼むよりも「基本メンテナンス」のようなセットメニューを依頼した方が、結果的に割安になることもあります。
自分で直すのが難しいと感じたら迷わず相談
この記事で紹介した方法を試してもギアの調子が戻らない場合、あるいはディレイラーが明らかに曲がっている、異音がするなど、重症である可能性が考えられます。
また、「工具を揃えるのが大変」「作業する場所がない」「そもそも機械いじりが苦手」という方もいるでしょう。
少しでも不安を感じたら、迷わず近所の自転車店に相談してください。
「こんな簡単なことで持ち込んでもいいのだろうか」と遠慮する必要は全くありません。
プロは快く対応してくれます。
自分で中途半端に作業して事態を悪化させてしまうよりも、最初からプロに任せた方が、時間的にも費用的にも、そして何より安全性の面でも、最終的には良い結果につながることが多いのです。
まとめ:定期的なメンテナンスで快適な自転車ライフを

自転車ライフナビ・イメージ
自転車のギアが変わらないというトラブルは、多くの人が経験する一般的な問題ですが、その原因はワイヤーの伸びや劣化、ディレイラーの調整ずれ、チェーンのコンディション不良など多岐にわたります。
そして、その多くは、今回ご紹介したような基本的な調整やメンテナンスで改善することが可能です。
特に、外装ギアのディレイラー調整や、ママチャリの内装ギアのマーカー合わせは、覚えておくと非常に役立つ知識です。
しかし、最も重要なのは、トラブルが起きてから対処するのではなく、トラブルが起きないように日頃から自転車をいたわってあげることです。
月に一度はタイヤに空気を入れ、チェーンの状態をチェックして適宜注油する。
雨に濡れたら、乾いた布で水分を拭き取ってあげる。
たったこれだけの簡単なメンテナンスを習慣にするだけで、ギアトラブルをはじめとする様々な不具合の発生率を劇的に下げることができます。
定期的な清掃と注油は、部品の寿命を延ばし、常にスムーズで快適な走りを提供してくれます。
もし自分で対処しきれない問題に直面したときは、決して無理をせず、信頼できる自転車店のプロに相談しましょう。
適切なメンテナンスと、時にはプロの力を借りることで、あなたの自転車は最高のパートナーであり続けてくれます。
安全で快適な自転車ライフを、ぜひ末永くお楽しみください。